個人事業主が納める4つの税金~所得税の計算方法
2017/05/05
経営会計コンシェルジュの山田由美です。
今回は、個人事業主が納める税金4つのうち、
所得税の計算方法を解説します。
確定申告をする所得には、次のようなものがあります。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.譲渡所得
8.山林所得
9.一時所得
10雑所得
ここでは、所得が事業所得のみの方を前提とさせていただきます。
所得税の計算方法
1.1月1日から12月31日までの1年間の売上合計を集計します。
=総収入金額
2.次に事業を営んでいて発生した必要経費を集計します。
必要経費とは、商品の仕入代金や人件費、交通費、通信費など、
事業に関連して支出した費用のことをいいます。
<計算式>
事業所得=総収入金額-必要経費
3.所得控除
事業所得の計算で算出された所得金額から、さらに差し引かれる金額
があります。これを、所得控除といいます。
所得控除には、次のようなものがあります。
①基礎控除:全員が対象
基礎控除は、所得金額から 全員一律で控除されるものとなります。
控除される金額は38万円です。
②医療費控除
医療費控除は、自分や「生計を一にする」親族の医療費を支払った場合に
受けることが出来る控除のことをいいます。
「生計を一にする」とは必ずしも同居しているということを意味しないため、
子供に仕送りをしているなどのケースでは、その子供の医療費も合わせて
控除対象とすることができます。
1年間に10万円以上の医療費がかかっていれば、控除対象になります。
また、その医療費が控除対象となるかどうかの基準は、
怪我や病気に起因しているものであるかどうかとなります。
例えば、異常所見がなかった人間ドックはただの健康診断と同じ扱いになるため、控除の対象となりません。
但し、その人間ドックを受けたことで重大な疾患が見つかった場合には、
一連の治療の一環としての診療と考えることができるため、控除の対象
となります。
③社会保険料控除
社会保険料控除は、
自分や「生計を一にする」親族の負担すべき社会保険料を支払った場合など
に受けられる控除です。
支払った全額が控除されます。
個人事業主の場合には、国民健康保険や国民年金などが対象となります。
④生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料を支払った場合に受けることが出来ます。
控除額は、年間の支払生命保険料によって変わってきます。
・平成24年1月1日以降に契約した生命保険料
支払保険料が8万円を超えた時点で一律4万円
・平成23年12月31日以前に契約した生命保険料
支払保険料が10万円を超えた時点で一律5万円
が控除される金額となります。
生命保険料控除証明書が必要となります。
⑤地震保険料控除
地震保険料控除は、損害保険などに契約した際に、
オプションで地震での損害に対する保険料を支払った場合に
受けることができる控除です。
最高で5万円の控除を受けることができます。
地震保険料控除証明書が必要となります。
⑥小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、
個人事業主の退職金といわれている小規模企業共済等掛金を支払った場合に
受けることができる控除となります。
払い込んだ掛金全額が控除対象となります。
⑦雑損控除
雑損控除は、災害などにより損害を受けた場合に一定金額受けることが出来る
控除のことをいいます。
⑧寄附金控除
寄附金控除は、国や地方公共団体に対する寄付金や、ふるさと納税などの寄付を行った場合に受けることができる控除です。
控除金額は、その年に支出した寄付金の金額と、
総所得金額の40%の少ない方から2000円を引いた金額
となります。
寄付をした際に受け取った領収書などが必要となります。
⑨障害者控除
障害者控除は、納税者本人や扶養親族などが所得税法で規定されている障害者に該当する場合に受けることができる控除となります。
障害者一人につき27万円、
特別障害者に該当する場合には40万円(特別障害者控除)
が控除されます。
⑩寡婦控除(寡夫控除)
寡婦控除は、配偶者と離婚や死別をした女性が対象となります。
控除金額は基本的に27万円、
特定寡婦に該当した場合には35万円
となります。
⑪勤労学生控除
勤労学生控除は、納税者が所得税法上の勤労学生に該当する場合に受けることができる控除です。
控除額は一律で27万円となっています。
合計所得金額が65万円以下で、条件に該当する学校の学生であれば控除の対象となります。
⑫配偶者控除
配偶者控除は、所得税法で定められている控除対象配偶者がいる場合に受けられる控除です。
控除金額は70歳未満が38万円、70歳以上が48万円となっています。
控除対象配偶者の条件は以下の通りとなっています。
また、配偶者の所得が38万円以上であり、
配偶者控除を受けることができなかった場合には
配偶者特別控除の対象となります。
合計所得金額が38万円〜76万円の場合に、
金額に応じた控除を受けることができます。
⑬扶養控除
扶養控除は、所得税法で規定されている控除対象扶養親族がいる場合に適用される控除です。
控除金額は、
・その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人:38万円
・その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人(特定扶養親族):63万円
・その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人:
同居の場合58万円、同居以外48万円
となります。
4.税額計算
所得税額は、次の計算式により、計算します。
所得税額=(事業所得-所得控除)×税率
計算例:事業所得から所得控除した結果、所得が500万円と計算された場合
所得税額=500万円×20%-427,500=572,500円
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。