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節税~小規模企業共済って何?

2017/05/05

経営会計コンシェルジュ・税理士の山田由美です。

経営者や個人事業主であれば、節税の方法について
検討したことがあるのではないでしょうか?

節税のために、不要なものを購入したり、
利益を翌年以降に先延ばしするような方法では、
効果のある節税にはなりませんよ。

個人事業主や共同経営者、小規模企業にとって効果のある節税、
それも大きな効果の出る節税方法について、すぐには思い付かない
かもしれませんが、実は節税しながら将来の生活資金を確保できる
国の制度があるんです。

それは「小規模企業共済」という制度です。
前回の節税の方法の中でも少しお伝えしましたが、
この制度では、掛金を払い込んだ分だけ節税することができ
払い込んだ掛金は事業を廃業されたときなどに退職金として
受け取ることができます

改めて、詳しくお伝えしますね。

小規模企業共済って何?

小規模企業の個人事業主が、事業を廃止した場合や
会社等の役員が役員を退職した場合など、
第一線を退いたときに、
それまで積み立ててこられた掛金に応じた共済金を
受け取ることができる共済制度です。

簡単にいうと、小規模企業共済は国がつくった
「経営者の退職金制度」です。

掛金は?

①掛金月額
1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)
で自由に選択できます。

②納付方法
毎月の掛金は、預金口座振替での払込みとなります。
また、掛金の払込方法(払込区分)は、
「月払い」「半年払い」「年払い」から選択できます。

③増額・減額
掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で、
増額または減額できます

④掛金の前納
掛金は前納できます。
前納すると、一定割合の前納減額金が受け取れます。

⑤税法上の取り扱い
掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、
課税対象となる所得から控除できます
仮に、最大の7万円の場合は、年間84万円の所得控除が受けられます。

また、1年以内の前納掛金も同様に控除できます。
なお、掛金は、共済契約者ご自身の収入の中から払い込むので、
事業上の損金または必要経費には算入できません

受取金額は?

共済金または準共済金の額は、基本共済金と付加共済金の
合計金額となります。

  共済金等の額 = 基本共済金 + 付加共済金

※基本共済金
掛金月額、掛金納付月数に応じて、共済事由ごとに
小規模企業共済法施行令(政令)の別表において規定される金額です。
付加共済金
毎年度の運用収入等に応じて、経済産業大臣が毎年度定める率により
算定される金額です。

共済金Aの年利回りは約1.2%、共済金Bの年利回りは約1%になります。
準共済金は年利回り約0.4%になります。

解約する場合は、積立期間20年未満は元本割れします。
そのため、掛金の支払いが難しくなった場合は、
掛金は月1,000円まで減額することができますので、
解約せず、掛金を減額することをお薦めします。
※共済金A:事業の廃位、譲渡、志望など
共済金B:65歳以上で積立期間が15年以上
準共済金:法人化して小規模企業でなくなった場合など

加入するにはどうすればいいの?

中小機構と委託契約をしている
全国の金融機関、商工会、商工会議所などが
加入窓口になります。

申し込みに必要な書類は、
・契約書
・預金口座振替申出書
・個人事業主の場合は、所得税の確定申告書の控えを
提示する必要があります。
事業を始めたばかりで確定申告書がない場合は、
「開業届」の控えを提示することになります。

①加入できる方

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、
    不動産業、農業などを営む場合は、
    常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
    を営む場合は、
    常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や
    常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、
    農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の
    弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  6. 上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の
    経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

②加入できない方の一例

次のいずれかに該当する方は加入できませんのでご注意ください。

  1. 配偶者等の事業専従者
    (ただし、共同経営者の要件を満たしていれば共同経営者として加入できます。)
  2. 協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、
    社団法人、財団法人、NPO法人(特定非営利活動法人)等
    の直接営利を目的としない法人の役員等
  3. 兼業で事業を行っているサラリーマン
    (雇用契約に基づく給与所得者)
  4. 学業を本業とする全日制高校生等
  5. 会社等の役員とみなされる方(相談役、顧問その他実質的な経営者)であっても、商業登記簿謄本に役員登記されていない場合
  6. 生命保険外務員等
  7. 独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」、「建設業退職金共済制度」、「清酒製造業退職金共済制度」、「林業退職金共済制度」(以下「中退共等」)の被共済者である場合

以上となります。
節税策の一つとして検討してみてくださいね。
まだ、事業を始めたばかりで節税よりも利益を出すことで頭がいっぱい!
という方も、頭の片隅に置いておいて、将来利益が出たときの節税策の
一つとして検討してみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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