起業準備中の費用も経費で落とせるの?(開業費)~会社の場合
2017/05/05
経営会計コンシェルジュの山田由美です。
以前、個人事業主の場合の、開業前の費用について書きましたが、会社を
設立した場合は、少し範囲が異なります。
今回は、会社の場合について、書きたいと思います。
会社の場合、税法上定められている開業費の範囲は、個人事業主(会計上の
範囲)より適用範囲が狭くなっています。
会社にした場合は、(法人税法上)開業費は法人が会社設立後、営業を開始
するまでの間、開業準備のために特別に支出した費用に限定されています。
したがって、経常的な費用は、開業費としてではなく、その支出年度の費用
として取り扱われます。
特別に支出した経費の具体例
・印鑑や名刺の作成費用
・チラシなどの広告宣伝費
・会社案内・業務案内やパンフレットなどの作成費
・交際費・接待費(打ち合わせのための食事代など)
・旅費交通費
・調査費
経常的な経費の具体例
・土地建物などの賃借料
・通信費
・事務用消耗品費
・支払利子
・使用人の給料
・電気・ガス・水道代
・保険料
【会計上の処理】
開業準備にかかった費用は、すべて一括して開業費(繰延資産)で処理
をします。
ただし、20万円未満であれば、支出した年度の費用として処理できま
すが、この場合は、個別に仕訳を行うことになります。
なお、いずれの場合も、帳簿上の日付は開業日の日付とします。
注)開業日とは、会社・法人の場合は、設立年月日(会社設立の登記申
請日)、または、法人設立届出書に記載した[事業開始(見込み)年月
日]などとなります。
【償却期間・償却額】
償却費の金額については、60ヶ月の均等償却、または任意償却のいずれか
の方法によることとされています。
任意償却による場合には、支出の年に全額償却してもよく、あるいは、ま
ったく償却しなくてもかまいません。
また、いつでも償却費として必要経費に算入することもできます。
しかし、開業した年度に開業費を一括して経費にしてしまうと、赤字にな
る場合もあるので注意が必要です。
そこで、年度末に決算をして利益が確定してから償却費を決めるというこ
とがよく行われます。
ただし、青色申告の場合は、その年の赤字を9年間繰り越すことができるの
で、その年に全額経費処理(損金処理)するのが一般的です。
会社を設立した場合は、以上のようになります。
専門的なことが多くて、少し難しいかもしれません。
自分で考えて処理するのが大変!という場合は、お気軽にご相談くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。